モーニングスター2025年トップ配当株10選
「利回り9%の隠れた宝石を発見」 - 世界最大の独立系投資調査会社モーニングスターのチーフマーケットストラテジストが選んだ2025年配当株ポートフォリオをご紹介します。
2025年前半に一部の銘柄がアンダーパフォームしたものの、専門家はこれを**「さらに良いエントリー機会」**と見ています。特に注目すべきは、市場最高の9%配当利回りを提供する化学会社と6.5%リターンの物流大手です。
2025年後半に入り、前半の推奨銘柄から4銘柄が除外され、新たに4銘柄が追加されました。これらの変更を詳しく見ていきましょう。
📊 エグゼクティブサマリー
- 推奨配当株: 10銘柄、平均配当利回り6.2%
- 最高配当利回り: ライオンデル (LYB) 9%
- 新規追加: キーバンク、エナジートランスファー、ライオンデル、エバーソース
- 除外銘柄: ジョンソン・エンド・ジョンソン、ブリストル・マイヤーズ、デボンエナジー、ファーストエナジー
- コア戦略: ディフェンシブセクター重視、関税影響最小化
🏢 モーニングスターについて
モーニングスターは1984年に設立された世界最大の独立系投資調査会社で、世界中の投資家に信頼される投資情報と分析を提供しています。同社の**「星評価システム」(1-5つ星)と「エコノミックモート」**分析は業界標準とされています。
この配当株選定は、30年以上の投資経験を持つ**デイブ・セケラ(モーニングスター チーフマーケットストラテジスト)**が主導し、バリュー投資と配当戦略の権威として認められています。
📈 2025年中間パフォーマンスレビュー
1月から推奨された10銘柄のパフォーマンスは**「まちまち」**で、ちょうど半数が上昇し、半数が下落しました。
主要アンダーパフォーマー分析
1. UPS - 最大の下落
- 現在の配当利回り: 6.5% (ワイドモート企業中最高)
- 下落理由:
- アマゾン契約終了(低マージン事業だが市場が過度に反応)
- 景気減速懸念がシクリカル株に影響
- 専門家の見解: 市場は成長鈍化の影響を過大評価、長期収益性は変わらず
2. クラフトハインツ (KHC) - 5つ星割安株
- 現在の配当利回り: 6.2%
- 現在価格: 長期適正価値の約50%
- 下落理由:
- 食品セクターのマージン圧迫(インフレ対応遅れ)
- GLP-1減量薬への懸念(スナック・デザート企業)
- 専門家の見解: 市場は減量薬の長期影響を過大評価
🏠 REITsセクター分析
ヘルスピーク (DOC) - メディカル不動産の隠れた宝石
- 配当利回り: 7.1%
- 割引率: 適正価値から40%割安
- 投資ハイライト:
- 医療オフィスビルとライフサイエンスに特化(最もディフェンシブな不動産)
- 中級価格で取引される高品質ポートフォリオ
- 年4%の配当成長期待
- 長期触媒: ベビーブーマーの高齢化がヘルスケア需要を牽引
🆕 新規追加4銘柄分析
1. エバーソース (ES) - 公益事業セクター最高リターン
- 配当利回り: 4.7%
- 割引率: 適正価値から14%割安
- 投資ケース:
- 公益事業セクターで最高のトータルリターン見通し
- AI電力需要の間接的恩恵
- 長期6%の利益成長期待
2. キーバンク (KEY) - 地方銀行回復
- 配当利回り: 5.2%
- 割引率: 適正価値から17%割安
- 投資ポイント:
- シリコンバレー銀行破綻後に地方銀行が急落したが大半は回復
- 純金利収入の継続的改善期待
- 魅力的な配当利回り機会
3. エナジートランスファー (ET) - MLPリターン
- 配当利回り: 7.23%
- 割引率: 適正価値から15%割安
- 重要な注意点:
- 税制優遇口座(IRA、401k)には不適合
- 課税口座のみでの推奨
- 高配当利回りとディフェンシブ特性の魅力
4. ライオンデル (LYB) - 9%超高利回り化学株
- 配当利回り: 9%
- 割引率: 適正価値から40%以上割安
- 投資ケース:
- 5つ星評価でナローエコノミックモート
- 市場が景気後退確率を過大評価
- 強固なバランスシートとキャッシュフローが配当持続性をサポート
- リスク: 化学業界のシクリカルボラティリティ
❌ 除外4銘柄とその理由
1. ジョンソン・エンド・ジョンソン (JNJ)
- 除外理由: 今年市場の2倍のリターンで株価上昇、魅力度低下
- 現在のステータス: コア保有としては依然推奨だが新規購入対象外
2. ブリストル・マイヤーズ (BMY)
- 除外理由: トランプ政権の医薬品価格政策への懸念
- リスク: 「最恵国価格制度」実施の可能性がネガティブセンチメント創出
3. デボンエナジー (DVN)
- 除外理由: 今年適正価値見積もりを2回引き下げ
- 背景: 石油生産コストに対する掘削効率の低下
4. ファーストエナジー (FE)
- 除外理由: エバーソースがより魅力的な代替案として浮上
- 現在のステータス: 依然4つ星株だが相対的に魅力度低下
📋 2025年最終トップ配当株10選
順位 | 企業名 | ティッカー | 配当利回り | セクター |
---|---|---|---|---|
1 | ライオンデル | LYB | 9.0% | 化学 |
2 | ヘルスピーク | DOC | 7.1% | REITs |
3 | エナジートランスファー | ET | 7.23% | エネルギー (MLP) |
4 | UPS | UPS | 6.5% | 物流 |
5 | クラフトハインツ | KHC | 6.2% | 食品 |
6 | リアルティインカム | O | 5.6% | REITs |
7 | キーバンク | KEY | 5.2% | 金融 |
8 | エバーソース | ES | 4.7% | 公益事業 |
9 | ベライゾン | VZ | 6.19% | 通信 |
10 | ポートランドゼネラル | POR | 4.91% | 公益事業 |
🌐 関税政策と配当株戦略
配当株に有利な環境
モーニングスターの分析によると、関税政策は配当豊富なディフェンシブセクターに比較的有利と予想されます:
- 公益事業: 国内中心事業で関税影響最小
- ヘルスケア: 必需性により需要安定性確保
- 生活必需品: 関税コスト転嫁能力とディフェンシブ特性
現在の市場状況と投資機会
- バリュー株: 適正価値から14%割安(魅力的)
- グロース株: 適正価値から11%プレミアム(ウェイト削減推奨)
- 投資戦略: 高配当利回り + ワイドセーフティマージン = 市場サイクルに関係なく安定リターン
💡 実践的投資アドバイス
段階的購入戦略
モーニングスター専門家は**「小さなポジションから始めて下落時に追加購入」**を推奨:
- 初回購入: 目標配分の50%
- 追加購入: 価格下落時のドルコスト平均法
- 長期保有: 6ヶ月パフォーマンスより長期視点重視
ポートフォリオ構築の考慮事項
- 個別株選択: 一部セクターではETFより個別株が有利
- 例: 生活必需品セクターETFはウォルマートやコストコなど割高株にウェイトが偏り、個別食品株が望ましい
- リスク管理: MLPは課税口座のみ、セクター分散が必須
🔮 2025年後半見通し
主要日程とリスク要因
- 7月中旬: EU、日本、インド、カナダとの関税交渉第1期限
- 7月15日: 大手銀行決算シーズン開始
- 8月中旬: 中国関税交渉期限
投資戦略方向性
デイブ・セケラは**「ハリケーンの目」にいるような状況でのディフェンシブポジショニング**を強調:
「我々は既にワイドセーフティマージンで取引されている高配当株に大きな価値を見出しており、どのような市場サイクルでも自信を持って保有できます。もし私が間違っていて、我々がこれらすべてを無傷で乗り切れば、あなたは依然として非常に低いバリュエーションで高配当株にポジションを持つことになり、長期的には魅力的なリターンを得られると思います。」
📚 結論:配当投資家への重要メッセージ
2025年中間パフォーマンスはまちまちでしたが、モーニングスターはこれを長期投資機会と解釈しています。特に市場最高の9%配当利回りを提供するライオンデル (LYB)や6.5%リターンのUPSは、**「下落が機会を創出する」**ことを示しています。
鍵は忍耐と分散投資です。短期的なボラティリティに惑わされず、実証された専門家分析に基づいて体系的なポートフォリオを構築することで、投資家は2025年後半以降も安定した配当収入を確保できます。
原文記事
関連記事: